ITの活用について

ITツールを活用した情報共有の取り組み

ITツール photo credit: WebWizzard via photo pin cc

ITツール活用で情報を共有し、多職種がチームとして連携する。

医療の現場では、スピーディーに、効果的に、そして安全に、患者様や家族の情報を共有していかなければ、それぞれの提供するサービスがチグハグになってしまいます。

鴻鵠会ではインターネット上でコラボレーションを行うネットサービスを活用して、患者様や家族の情報をチーム間で共有しています。患者様ごとにグループを作成し、グループに招待したメンバー間で掲示板や共有フォルダ、タスク管理などの情報共有を行うのです。現在、当院には約160人の在宅患者様がいますので、その数と同じだけのグループがあるという事です。

在宅医療では、一人の患者様に係わるメンバーの組み合わせは非常に複雑です。たとえば、ある患者様はA訪問看護師とBケアマネジャー、こちらはC訪問看護師とDケアマネジャー等々。現在の連絡先は100ヵ所近くもあり、訪問看護師ステーションやケアマネジャー、ヘルパーステーション、訪問入浴サービス、病院の地域連携室、場合によっては病院の主治医もあります。そうしたなか、このようなITツールを使うことで、多職種がどのように関わっているのかを簡単に確認し、把握することができます。

病状だけではなく、患者・家族の気持ちの部分までをみんなで共有し、支えることが信頼につながる。

スムーズに情報共有ができることにより、質の高いサービスを提供できると考えています。それぞれのメンバーが患者様や家族の状況をタイムリーに、的確に認識した上でサービスを提供できるからです。

ある患者様ではこういうことがありました。この患者様は癌の末期状の70代男性です。家族は奥様一人だけでした。病状はどんどん悪化し、せん妄も出てきました。それでも奥様は毎日、「家にいるのが好きな人だからここで看てあげたい」と頑張っていました。そして、ある真夜中、息を引き取り、我々は死亡診断をするために駆けつけました。ご遺体の前でご挨拶をすると、奥様からこのような言葉を頂きました。

「関わってくれた方々の支えがあったので、夫を自宅で看取ることができました。私が話したことが先生や看護師さん、みんなに伝わっていた、その時、みんなに支えられていると実感し、励みになったのです。そのことを思うと、これからも生きていけそうな気がします。」と。それぞれのメンバーが「今日こんな状態だった」「奥様はこんなふうに言っていた」などの情報を共有し、それを受けて、みんなが奥さんの抱える不安や想いを支えてきた。それが奥さんのことばに現れたのだと考えています。これまで患者様や家族の気持ちの部分の情報共有は特に難しかったのですが、ITツールを積極的に活用することにより、それがスムーズにできるようになったのではないでしょうか。

信頼の鍵は「連携」から「チーム」へ。

信頼を得るためには、情報を共有して、それぞれがどのようなサービスを提供していくかが重要となります。そして、そこでは、単なる「連携」ではなく、「チーム」にならなければいけないと考えています。

チームというのは、スポーツのチームを想像すると分かりやすいと思いますが、それぞれに役割があり、それに基づいてプレーします。でも、自分の役割しか果たさないというプレーヤーはいません。野球でもサッカーでも、状況に応じて誰かのカバーに入り助け合う。同じチームメートの気持ちを読み取り、その先を動く。そうしてチームが成立するのです。我々も同じことが求められているのです。患者様の病状や家族が抱える不安が刻々と変化するなか、お互いがフォローすることで、初めて患者様や家族の信頼に結びつくのだと思います。

朝比奈院長の活動

講演

2012.7.7
「地域連携と治療・療養の場所の選択」けいゆう病院 緩和ケア研修会
2012.6.30
「インターネットを用いた多施設間患者情報共有におけるセキュリティー対策の考え方」 シンポジウム 2「患者情報-IT による地域共有化を目指して(継続演題)」
2012.5.25
「睦町クリニックでの訪問診療」横浜市南区医師会館
2011.7.29
「医療連携シリーズ-在宅医療-」ケアマネ研修会 大岡地区センター
2011.7.20
「情報共有により支える在宅医療~治せない病気はあっても在宅医療できない病気はない~」社会保険中央病院 地域医療交流会
2011.6.25
「クラウド上のグループウエア サイボウズLiveを用いた在宅医療における情報共有の試み」 第18回日本在宅医療学会学術集会シンポジウム1「患者情報-IT による地域共有化を目指して」
2011.5.31
「-ハイテク在宅医療で高齢者は幸せになれるのか-」第93回みなとセミナー(みなと赤十字病院)
2011.5.17
「在宅医療の今」桜会(Privete Party)
2011.3.8
「クラウド型グループウエアを利用した在宅医療における多職種間患者情報共有の試み」中野区医師会館
2011.1.23
「在宅医療におけるグループウエアを利用した情報共有の有用性について」東京都医師会 第23回 医療とITシンポジウム
2010.6.29
「地域医療における患者情報共有とサイボウズLive」セミナー:「サイボウズLive」を使った新しいコラボレーションスタイル(教育・医療編) Apple Store銀座

論文

クラウド上のグループウェア・サイボウズLiveを用いた在宅医療における情報共有の試み
Jpn J Cancer Chemother 38(Suppl I): 17-19, December, 2011

グループウェア・サイボウズLiveを利用した多職種間情報共有の構築方法
新医療 2012年5月 41-44